夕凪亭別館

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1972年12月

Lost Days

1972年12月18日。曜日。

  僕は僕の未来をあまりにあからさまにしてしまった。未来を完全に描けたということ。-何という不毛-生きていても生きていなくても同じだという結論に到達するではないか? -ニヒリズムの深淵。明晰の地獄-知ることの不幸-運命に挑戦し,それに勝つことによってすなわち僕は負けている-何という不幸-生きる理由を僕は知らない。何故に僕は生きたらよいのか? 生きたいし,生きるべきではないか。生を肯定せねばならないではないか。

 -この不幸,この困苦,-墓場に横たわるツァラツストラー

 この不幸を人に解釈してもらうことは僕の生き方に反する。あくまで,明朗に,生を謳歌しているような顔をしていなければならない。

 

 

1972年12月23日。曜日。

 冬季リーゼミ(音協)から帰ってきた。

 無駄な時間を過ごすことも生きてゆくうえには必用だと思う。

 しかし,僕はあまりに忙しすぎる。

 また,忙しすぎるということは,幸福なことである。なぜならば生きることの苦痛,存在そのものの,はかなさを意識することを忘れさせてくれるからだ。

Lost Days