夕凪亭別館

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1972年4月

Lost Days

1972年4月1日。土曜日。薄曇り。

 昨日今日と文字通りの春の嵐で冬のような寒さだ。一昨日広島へ行ってわずかの書物と非常に多くの洗濯物を取ってきた。

 

 偉い人は一つの行動あるいは出来事から,様々な人間性の真実を見出すものである。

 漱石の三四郎を昨日読み終えた。高三のとき読んだことがあるから,二度目である。

 前のときは新潮日本文学で読んで,漢字がやたらと多くて不十分な理解だったが,今回はよくわかった。

 大変楽しく読めた。まず何よりも面白いところがよい。言葉の不正確や洒落の俗っぽさを非難する人がいるが,そんなことはどうでもよい。僕は文学を吟味しているのではなく,文芸を楽しんでいるのだから。楽しめると言うことがまず,第一条件。次ぎに,生き方に対する様々な考えを読むことが無駄でないような何かがあれば,それでよいのだ。

 

 

1972年4月3日。月曜日。

 少し日記にやぶさかになった。

 書くことが大儀いのではなく,考えることがしんどいのでもない。ただ,書くべきことがないのだ。あまりにも微々たる生活だから,雲の移ろいや佇まいさえも気にしないような鈍感な神経になってしまったのかも知れない。

 正直言って,因島の生活に飽きたのだ。早く広島に行きたいが,あそこもごそごそして落ちつかないから,そんなに急いでいく必用もなかろう。大学一年の生活にもすっかり倦怠感を覚えた僕はもう三年もそのような生活をしなければならないことが少々苦しく思われる。でも仕方がない。これ以外の生活を僕は欲しないから。

 

 

1972年4月9日。日曜日。晴れ。

 広島。あたたかい,午前午後とよく歩いた。落ちついた気分。

 

1972年4月18日。火曜日。晴れ。

 昨日,今日と暖かい日が続く。

 昨日,「アインシュタインの生涯」終わる。

 今日。「羊の歌」読んだ。

 去年の秋ぐらい書いたノートを破棄しよう。

 昨日,「量子力学」の前書きや歴史を読んでいて,科学というものの限界に直面したような気持ちになった。

 Lost Days